新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサーサイト
新しい記事を書く事で広告が消せます。
あの棒が回った
中学、高校と通った床屋さんがある。
その床屋のおじさんはとても厳しかったし、ルックスもライク・ア・893だったから凄く怖かった。とっつきにくかったけど、長く付きあったから、実は心の優しいおじさんだということを僕は知っていた。
そのおじさんはいつも、「ウタマロ君は将来きっと立派な大人になるよ。」と言ってくれた。
そして僕は高校を卒業し、東京の大学へ。だから髪の毛はそちらで切るようになった。
ある日、田舎に帰省した僕は急に髪の毛が切りたくなって、久々におじさんの床屋に行った。
その時、原因はハッキリ覚えていないのだけど、僕はおじさんに怒られた。多分、田舎者が東京なんかに行ったものだから「調子付いて」いたのだと思う。家に帰ってから凄く反省したのだけは記憶にあるから、多分そうだ。
それからおじさんの所へは行かなくなった。いま思うと僕は本当に子供だった。おじさんは調子付いていた僕をちゃんと怒ってくれたのに、僕はそれに応えることもなく去ってしまったのだから。
…そして十年以上経った。
数ヶ月前から気になっていたことがある。おじさんのところの、床屋には必ずある、赤と青と白のネジネジしたあの「クルクルする棒」が回っていない。
どうしたのかな…。
そう思っていたら、三ヶ月前ぐらい前に偶然そこの奥さんに会った。そして理由を訊いてみると…。
「お父さんね、肺の病気になっちゃって一時は死にかけたの。なんとか助かったんだけど、今入院中なのよ。でも、よくなったらまた始めるって言ってるから。」
そういえば、おじさんはタバコが好きだったなあ。確か一日三箱以上吸うって言ってたっけ。
それから心配になって、おじさんの床屋の前を通る度に、あの「クルクルする棒」をチェックし続けた。おじさんが元気になったら、また必ず回るはずだから。
そして今日……あのクルクルする棒が回っていた!!
非常に嬉しい!やったねおじさん!
さて、おじさんは見事快復したが、予想は外れたままだ。
僕はちっとも「立派な大人」になんかなっていないからだ。
おじさん本当にすみません。
〔text.The Gag Council 〕
(写真はおじさんの床屋ではありません。)
ウタマロ代表本人も利用中!お買い物するならダンゼンお得なDMMで!
『ウタマロ企画会議室』はDMMと提携しています!