ウタマロ企画会議室

検査結果が出るまで不安を与えない。

彼女まさにパーフェクトであった。

以下　性春ノイローゼ （４）　からの続き。

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「そのう、最初から着けろと仰いますけどね、いきなり勃ってるワケじゃないですか？」
「（ニヤっとしながら）そうよねえ。でも、その、あれかしら、その…ムードでなんとかならないものなの？」
「ムードですか？うーん、例えばキスする前ですとか、そのう、服を脱いだりブラを外している時にですよ、突然コンドームを着け始めたら、そりゃあムードもクソもないですよ。」
「そうかしらね。」
「そうですよ。かといって僕ももう中学生ではないですから、一緒の部屋に居るだけで勃起するとか、そういうのはムリなので、やっぱり物理的に着けられないですよ。」
「難しいわね…。」
「ま、その、入れる前の行為は全て生で行って、入れる時に着けるってのは可能というか、当たり前というか…あのう、僕は今回かなり反省…いや、改心したんでね、ゴムは必ず着けようと思っています。」
「お願いするわ。性病予防だけでなく、避妊にもなりますからね。で、やっぱり最初から着けるのはムリなの？」
「ムリというかですねえ…。」

「そのうモザイクなしのやつで…。」
「モザイクなし？」
「ううん、まあちょっとそこは流してください。で、この生全盛の業界において、ゴムフェラなんかを発見した時にゃあ、僕は烈火の如く怒ってきた男なんです。ゴム姦はまあいいですけど。」
「ゴムフェラ？ゴム姦？」
「今エッチなＤＶＤは生中出しが主流なんですよ。」
「そうなの。ちょっと私、貴方の言ってることが難しくなってきたわ。」
「例えば、まあぶっちゃけますけど、今回の僕の不安の元というのはですね…」

ここで今までの経緯を説明。

「そういうのがあるのね。ＮＳ着とＳ着ね。覚えておくわ。」
「あの、ですから、ＮＳの後に着は付きません。」
「どうして？」
「Ｓ着というのは『スキン着用』の略でＳ着なんです。ＮＳってのは『ノースキン』の略だから、その後に着を付けるのはおかしいんです。」
「でもＮＳって、私たちナースのことよ。」
「ああ、まあ、でも吉原にナースは居ないですから。元ナースとか、ナースの服を着せられる人は居るんでしょうけど。」
「ナースの略はＮＳなのよ。」
「…はい、分かりました。」

そんなこんなしているうちに結果が出たようだ。

「良かったわねー、陰性よ。」
「良かったーー。ありがとうございます。」
「これからは気をつけてね。出来れば最初から…。」
「ええ、頑張ってみます（笑）それではまた１２月に。」
「１２月って…先月辺りにそういう危険があったの？（ＨＩＶの抗体検査は、怪しいと思った行為の３ヶ月後でないと正確な結果が出ない）」
「ええ。」
「お盛んなのね。」
「…はい(*・o・*)でも改心したんで、少し控えようと思います。」

「あのう○○さん。（このナースの名。名札で確認）」
「はい。」
「僕はこの１０日間くらい、本当に鬱っぽくなっちゃって。今日も検査に来るまで不安で不安で…。検査を待っている間、恐怖で死んでしまうんではないかと思ってたんですが、○○さんのお蔭で全くそういう気にはなりませんでした。」
「そう、それは良かったわ。」
「検査を受ける人の不安を取り除くという点で、○○さんはパーフェクトだったと思います。僕は生まれて初めて白衣の天使を目の前にしました。リアル・ナイチンゲールを見ました。今日はありがとうございました。」
「貴方上手いこと言うわねー。それならムード作りもバッチリじゃないの？」
「たはっ(*・o・*)」
「ではまた１２月にね。」
「はいっ(*・o・*)」

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てなワケで、無事陰性だった僕

この１０日間で考えたこと。陰性であればそれらを書こうと思っていたのだが、やっぱり止めることにする。載せても面白くもなんともないからね。そのうち書くかもしれないけど…ああやっぱり書かないだろうな。

兎に角もうこんな思いをするのは嫌なので、ゴムは着けることにした。

最後に○○ちゃんの噂が真実でないことを願う。

だってすっごくいい娘だったから。

…。

今日は元気になったカルメンをいじって寝よう。

オナニーの特別優れているところは。

安全性だ。


〔text.The Gag Council〕

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白衣の天使って本当に居ると思いますか？

僕はこの日、この目で確かに見ましたよ。

以下　性春ノイローゼ （３）　からの続き。

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「入り口を入って左手に電話がありますから、内線の○○番にかけてください。そうすればすぐに担当が来ますので。受話器にもＨＩＶ検査の方は○○番にって書いてあるんで、覚えなくてもお分かりになると思います。」

予約時の電話でそう言われた。そして当日。

ウタマロ代表 in ○○○○○○○事業団。

入り口を入って左側を見ると確かに電話が置かれていたが、話と違ったのは電話などしなくとも、僕の気配を察知して年配のナースらしき女性が、待ってましたとばかり僕の前に現れたことだ。

「○○時に予約された方ですか？」
「はい、そうです。」
「それじゃ、スリッパを履いてこちらにいらしてくださる？」
「はい。」

案内されたのは閑散とした会議室。３０人から４０人くらいで利用するのに調度いい広さ。僕と彼女、二人だけにはちょっと広すぎる。

「じゃあ、最初に血を採りますからね～。ここに座っていただけますか？」
「はい。」

この時までの僕は、自分では見られなかったけど、本当に深刻そうな顔つきをしていたと思う。本気で血の気が引いていたし、思い込みのピークに達していたからだ。

採血した後、パイプ椅子に座ると、そのおばさんナースも僕の横に座った。見た目で年齢が分からないタイプだが、おそらく４０後半から５０前半くらいだと思う。ここから検査結果が出るまで、しばらく話すことになる。

この事業団で、夜間のＨＩＶの抗体検査を始めたのは先月からだという。私も担当になって少ししか経っていないから、エイズにはそんなに詳しくないんですけど…と言いつつ、彼女はパンフレットを開けて説明をしだす。

この時すぐに分かったのだけど、やっぱり僕のほうが絶対にエイズについて詳しい。兎に角彼女が話したいというかやるべきことは、その事業団というか、保健所というか、厚生省というかが決めたこういう時の指針なのであろう『性交を最初から最後までコンドームを着けて行いなさい』という指導。

きっと検査が出るまでの時間、その説明をしなさいって決められているんだろうね。

「あのう、やっぱりそういうのは着けないでやりたいものなのかしら？」
「うーん、そうですねえ。ある高名な方も『セックスとビールは生に限る』って仰っているくらいですから。」
「（困ったように）…ウフフ。その高名な方って誰なの？」
「名前は忘れましたけど、確か経済界の重鎮だったような気が…。」
「へえ、そうなの。」
「確か…そうです。」

嘘です。

でもこの時から、重たかった気持ちが徐々に晴れてきた。

このおばちゃんをいじりたい。


（つづく）


〔text.The Gag Council〕

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