ウタマロ企画会議室

「賢そうな顔ってどんな顔ですかね？」

そう訊かれたとき、「アラマタ先生のような顔。」と答えることにしている。イケメンだのブサイクだのという括り方ではなく、知性は顔に出るものでしょう。アナタの身近にいるアラマタ顔な人はすんごく賢くないですか？…てか、アラマタ顔だったら、必然的にそうじゃなきゃいけないような気がするが。

とはいえ、もこ〇ちだったり羞恥心な三人よりは、絶対にアラマタ先生の方が教養⇒大！なのに、世のおなご達が抱かれるとなったら「アラマタ以外で。」と、そう言うのは事実、現実、鹿児島実業、通称鹿実。であるからして、僕がメニー・メニー・ブサイク贔屓であるのを許して欲しい。

そりゃ判るよ。判るさ。判るんだけども、「私だったらアラマタ顔に抱かれたい。」という女の子が、日本にもっと増えて欲しいし、増えてくれ！そういう運動を始めたいと思ったのは高校三年の春。しかし、それは止めようと決めたのが高校三年の夏。で、復活したのが三日前。

運動のきっかけは、学年…否、学校一ブサイクだったヨネヤマ君と同じクラスになったことによる。気の毒なほどのブサイクさ、あんどサモハンキンポーの髪型。なので、僕の毎日の視線は彼に釘づけになって、グングン吸い寄せられていった。それが高校三年の春のこと。「誰かヨネヤマ君に童貞を捨てさせてあげられる女子いませんか？」一週間くらい女子に声をかけて嫌われまくったね。

自分も童貞だのに、そんな運動を試みるなんておかしくない？いや、おかしくない。機が熟したと判断した僕は、勇気を出して初めての接近。徐々に話すように仕向けたのだけど、どうもかみ合わない。ウタマロ代表が十八番のイジり芸を繰り出すと、彼は怒るのである。ここでくじけてはイカンと継続するも、もれなく怒ってしまうサモハンキンポなスウィート・ベイベー。

それからも、究極のブサイクさに僕は陶酔していたものだから、彼への愛情を捨てきれずにいた。そうこうしているうちに、夏休み前のある日の放課後をむかえる。

僕と仲間三人・ウィズ・ヨネヤマ君が掃除当番になった。ヨネヤマ君が掃除をせずに帰るというのは有名だったのだが、クラスの笑いの中心である僕らと一緒なら、絶対にやるものと思っていた。だけど、ヨネヤマくんは帰ろうとした。しかも、掃除なんてお前らがやれよ的な笑みを浮かべながら。

それを見た仲間がキレた。ヨネヤマ君を教室に連れ戻し、進学校なのにビーバップハイスクールみたいなことをしようと相談し始めるじゃないか。

「ちょっと、待って。」
「ん？」
「彼はブサイクなんだからさ。」
「…。」
「ブサイクなんだから、本当は性格が良くなきゃいけないよね？」
「（仲間の一人）そうだね。」
「でも、俺、数日間、彼と接したんだけど、すっごく性格が良くないんだよ。」
「…。」
「しかも、成績だってそんなに良くないじゃん？」
「ま…ねｗ」
「ヤツは悪いところだらけなんだよ。掃除しないのはムカつくけど、ま、ま、ま、ここは穏便にいこうよ。」
「どういう理屈？」
「…彼はさ、アラマタ先生じゃないのよ。」
「？」
「アラマタ先生ならいけど、アラマタ先生じゃないのよ。」
「マロちゃん、意味分からないんだけど？」
「とにかく、ここは俺に免じて我慢してくれないかな。」
「んー…。」

なんとか仲間は抑えた。でも、金輪際ヤツとは関わらないことにした。ヨネヤマ君はブサイクなんだけど、ただのブサイクであって、アタマタ先生のように教養が滲み出てなかったからだ。かばっても仕様がない。

そして十数年後。



本棚にある、アラマタ図像館「解剖」を見、そんなことを思い出した次第。

そして、バイトのＨ君がいいんだ。サンボ・マスターみたいで、凄くいいんだ。真面目で、シャイで、ブサイクで、そりゃあもう堪らないんだ。トイレ掃除もキチンとするしさぁ。

運動スタートだよ、Ｈ君のお蔭さ。


〔text.The Gag Council〕

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