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みうらじゅん先生の教え
２）「飲み代」のからくり
さて、壮年期になると、暮らしに経済的な余裕ができます。
これまでエロ本を買うのに2000円しか使えなかったところを、壮年期になると万単位で使えるようになります。そんなにエロ本にお金を使ってどうすると思うかもしれませんが、「一晩飲んだと思えば」安いものです。 なぜ飲み屋があれほど高いのか、理由はここにあります。
それは、何かと比較するためなのです。本当に酒が飲みたいのなら家で飲めば安上がりです。しかしなぜ、お金がかかるのにもかかわらず飲み屋へ行くのか。これまで「飲み屋の雰囲気が好き」などとごまかしていましたが、要はエロ本を買ったときの「飲み屋より安いじゃん」を言うためなのです。
これは風俗も同じです。若いときに風俗などで金を落としておかないと、壮年期でいわゆる「ケチ」な人間になってしまいます。くだらないキャバクラで何万円も払った経験があれば、のちのち、何かでお金を使うときに「あれに比べたら安いものだ」と考えられるようになるのです。
自腹の痛みを知っておかねばならない、ということです。
酒とセックスはろくなことがないのです。飲めば飲むほど、やればやるほど、累計で嫌な過去が増えていきます。しかしなぜ行くのかは、つまり、そういう理由なのです。
若い頃上司に奢られておきながら、いざ自分が出世して部下に奢る前に会社を辞めてしまう人はダメです。なぜなら自腹を切っていないからです。どれだけ嫌な上司だろうと、お金を払っていないうちはその上司に負けています。文句は払うようになってからしか言えないのです。
『たそがれ清兵衛』という映画がヒットしましたが、先生はあの話は大嫌いです。よく考えてみてください。あのように、人から誘われても家に帰ってしまう清兵衛の人生は「おもしろくない」。役者が真田広之だから良く見えましたが、つまらないにもほどがあります。
いかに無駄な飲み屋で無駄な金を払うかが、壮年期、老年期になって「ああ、基準を作っておいてよかったな」と思うことにつながるわけですから、「たそがれ時になったら家に帰る」などというつまらない人生は送らないように気をつけましょう。
正しい保健体育（みうらじゅん：著 理論社）より抜粋
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僕はこの件がとても好きで、煩悩肯定理論としていつも使わせていただいている。
そして今では、これまで出会ってきた“金食い性悪女達”に関しても「基準を作ってくれてどうもありがとう」と感謝出来るまでになった。
やはり、みうら先生は偉大である。
さて、壮年期にケチな人間にならずに済みそうな僕だけど、まだまだ足りないと思う。もっと凄い人は星の数ほど居るし、ここは貪欲に行かないと！
というワケで、さらに自腹の痛みを知るべく今日も遊びに出かけます。
それでは皆様よい週末を！
〔text.The Gag Council〕
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