ウタマロ企画会議室

二、三ヶ月前に僕の行きつけのラーメン屋「円熟屋 〇〇店」で起こった事件を書く。個人が特定されるし、書くか書くまいか迷ったのだけど、やっぱり書くことにした。

ここにはおばちゃんがいる。昔から居る看板おばちゃんで、愛想が良く、気がきくのだが、ちょっとだけヌケている。ラーメンを作っているのは若いお兄ちゃん。この方、ちょいと怒りっぽく、おばちゃんや他のバイトに対する言葉づかいが乱暴で、客のこちらが気にしてしまうことがしばしば。

その日は店内に入った時から、なにか揉めているなという雰囲気が漂っていた。おにいちゃんはのっけからピリピリしているし、おばちゃんの動きもいつにも増してチグハグ。で、おばちゃんはいつものように、丁寧すぎる言葉づかいで僕を席まで誘導する。

その時。

「〇〇（←何かの作業のこと）やったのかよ！？」
「まだやってません！お客さまが優先です！」

店内に怒号。なんなんだ？　するとお兄ちゃん、そのおばさんに近づき。

「ねーやったの？やってねえのかよ！？聞いてんの？ねーーー！！」

おばちゃんは無視。

それからしばらく他のお客さんを含め、僕らは緊張のひと時を過ごす。お兄ちゃんが僕のラーメンを持ってきてくれた。ズズっと一口。ラーメンは美味い。美味いんだよ。でも、雰囲気悪すぎ。

その後、店の奥で二人はまた揉め始めた。僕が半分くらい食べた頃…。

「わたし今日は帰ります！」

え？うそぉ！？

店を出ていくおばちゃん。バイトの若い奴が、お兄ちゃんの方を見、十秒ほど葛藤してからおばちゃんを追いかけるも…帰ってきたのはソイツだけ。おばちゃんは戻ってこなかった。

おばちゃんはいい人なんだけど、前述したようにちょっとヌケている部分があって、余計なことも言いそうな感じがするから、お兄ちゃんにとってはイライラする対象なのだろう。それは前から感じていた。だけど、お客さんの前でやっちゃいけないだろうと、イライラしているのを見せちゃイカンだろうと、それもずっと思っていた。

その事件から一ヶ月後、再びラーメンを食いに行った僕。だけど、おばちゃんは居なかった。この曜日は居るはずなのに。

もしかして辞めちゃったのかな？


…。


そして本日。

居たよーーー！そのおばちゃん。で、今日はお兄ちゃんと上手く連携がとれていたぜ。

というワケで、１０月の限定メニュー『極旨坦々つけ麺』の黒ゴマバージョン。黒ゴマと白ゴマがあって、どちらにするか迷った僕は、おばちゃんに「どちらが人気ですか？」と訊ねた。そしたら、そのままお兄ちゃんに訊き直してくれて、お兄ちゃんが「黒ゴマ」と言ったので決定。

いいね。いいね。会話があるね、この二人。



つけ麺は通常で1.5人前。中盛券100円をプラスした、こちらの画像は麺2玉で690円也。チャーシューの代わりにひき肉が乗っている。だけど、チャーシューが食いたかった僕は、別会計でチャーシューを一枚追加（100円）した。計790円の本日の御馳走。てか、おばちゃんが居て良かったＹＯ！

兎にも角にも仲が良いのが一番である。

「仲良き事は美しき哉」

と武者小路実篤も言っているじゃないか。


〔text.The Gag Council〕

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